「ミニ弁護士」と呼ばれる人々
司法書士や行政書士の方と話をしていると、時々、「ミニ弁護士」という言葉が出てきます。これは、「弁護士のような」存在を志向している、あるいはそう見える資格業の人間を指す言葉で、つまり弁護士ではなく、弁護士外の士業についていわれるものです。
これを前記したような士業関係者が、そうしたスタイルの同業者を指していう場合、いい意味で使っていない場合がほとんどです。つまり、歴とした別の資格であるのに、弁護士の真似ごとをしている、弁護士のような法律家を気取っている、あるいはそこにコンプレックスの裏返しのようなものを読み取って、やや嘲笑的にいわれる場合も少なくありません。
もちろん、これを弁護士がいう場合、まずは「非弁」的なニュアンスまで帯びる批判的な言い方になります。
実は、この言葉が使われるのは、そんなに新しいことではありません。旧司法試験時代から、難関のチャレンジ継続を断念し、弁護士からみた、いわゆる隣接士業の資格を取った人のなかには、弁護士の夢を捨てきれない方もいれば、その士業にあっても、意識し、そこにはどこか張りあうような気持ちを持たれる方もいて、ご本人が気が付かないうちに、同業者の目にそう映っている場合もあるように思います。いわば「勘違い組」というようなとらえ方です。
ただ、現実的には、司法書士でも行政書士でも、そう称される層の方々がいることは事実です。
一方で、今回の「改革」は別の状況を提供しています。司法書士への簡裁代理権付与は、弁護士にとっては一種の空白地でありながらも、弁護士の領域に、司法書士が踏み込む形となりました。その意味で、紛争の価額140万円以内という世界において、名実ともに「弁護士同様」という認識が、彼らのなかに生まれたこともまた、事実です。
彼らにとって、登記という存在が、業態の基盤であることは変わらないものの、簡裁という地平に司法書士業務の新たな領域としての期待感が生まれました。ただ、そこは司法書士のなかでも、認識は一つではなく、現在の業務の登記依存度などによってもさまざまな見方があります。
その中で、「ミニ弁護士」という言葉も、簡裁代理に意欲的な人間、さらには弁護士との間でのさらなる領域拡大に積極的な人間に向けられる場合もみられます。そうした者への多くの司法書士の視線は、たとえそれが会組織の決議文で掲げられている方向と一致していても、「弁護士とはりあってもしようがない」といった冷ややかなものであったりもするのです。
行政書士についていえば、ドラマのなかの行政書士の示談交渉などが非弁行為に当たるのではないかとされた「カバチタレ」の影響で、士業そのものが注目のされるといった現象が起きています。根本的な事件必要説、不要説を挟んだ弁護士法72条をめぐる議論も提供していますが、これもまさに、「ミニ弁護士」をめぐる問題になっています(「弁護士『独占』の評価と前提」)。
また、最近の状況としては、行政書士にも、司法書士にも、法科大学院入学断念組、法科大学院修了受験断念組の姿が目立ち出しているということが言われています。彼らは、新法曹養成制度なかで、見方によっては旧司法試験組のような、納得できるようなチャレンジの機会がないまま、経済的時間的な問題で断念してきたということもあり、弁護士という仕事に対するまた、別の思い入れを持ち合わせていることもあり得ます。もちろん、士業についてからの、チャレンジ機会も以前のような形ではありません。
最近、早くも士業の同業者が、その法科大学院修了組に「ミニ弁護士」という称号を与えているのを耳にしました。今後、当然にこうした若手が増えてくるのではないか、といった予想もされています。「ミニ弁護士」が同業者の冷やかな陰口にとどまらず、「改革」がもたらした一つの現象としてみなければいけない時代がくるかもしれません。
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これを前記したような士業関係者が、そうしたスタイルの同業者を指していう場合、いい意味で使っていない場合がほとんどです。つまり、歴とした別の資格であるのに、弁護士の真似ごとをしている、弁護士のような法律家を気取っている、あるいはそこにコンプレックスの裏返しのようなものを読み取って、やや嘲笑的にいわれる場合も少なくありません。
もちろん、これを弁護士がいう場合、まずは「非弁」的なニュアンスまで帯びる批判的な言い方になります。
実は、この言葉が使われるのは、そんなに新しいことではありません。旧司法試験時代から、難関のチャレンジ継続を断念し、弁護士からみた、いわゆる隣接士業の資格を取った人のなかには、弁護士の夢を捨てきれない方もいれば、その士業にあっても、意識し、そこにはどこか張りあうような気持ちを持たれる方もいて、ご本人が気が付かないうちに、同業者の目にそう映っている場合もあるように思います。いわば「勘違い組」というようなとらえ方です。
ただ、現実的には、司法書士でも行政書士でも、そう称される層の方々がいることは事実です。
一方で、今回の「改革」は別の状況を提供しています。司法書士への簡裁代理権付与は、弁護士にとっては一種の空白地でありながらも、弁護士の領域に、司法書士が踏み込む形となりました。その意味で、紛争の価額140万円以内という世界において、名実ともに「弁護士同様」という認識が、彼らのなかに生まれたこともまた、事実です。
彼らにとって、登記という存在が、業態の基盤であることは変わらないものの、簡裁という地平に司法書士業務の新たな領域としての期待感が生まれました。ただ、そこは司法書士のなかでも、認識は一つではなく、現在の業務の登記依存度などによってもさまざまな見方があります。
その中で、「ミニ弁護士」という言葉も、簡裁代理に意欲的な人間、さらには弁護士との間でのさらなる領域拡大に積極的な人間に向けられる場合もみられます。そうした者への多くの司法書士の視線は、たとえそれが会組織の決議文で掲げられている方向と一致していても、「弁護士とはりあってもしようがない」といった冷ややかなものであったりもするのです。
行政書士についていえば、ドラマのなかの行政書士の示談交渉などが非弁行為に当たるのではないかとされた「カバチタレ」の影響で、士業そのものが注目のされるといった現象が起きています。根本的な事件必要説、不要説を挟んだ弁護士法72条をめぐる議論も提供していますが、これもまさに、「ミニ弁護士」をめぐる問題になっています(「弁護士『独占』の評価と前提」)。
また、最近の状況としては、行政書士にも、司法書士にも、法科大学院入学断念組、法科大学院修了受験断念組の姿が目立ち出しているということが言われています。彼らは、新法曹養成制度なかで、見方によっては旧司法試験組のような、納得できるようなチャレンジの機会がないまま、経済的時間的な問題で断念してきたということもあり、弁護士という仕事に対するまた、別の思い入れを持ち合わせていることもあり得ます。もちろん、士業についてからの、チャレンジ機会も以前のような形ではありません。
最近、早くも士業の同業者が、その法科大学院修了組に「ミニ弁護士」という称号を与えているのを耳にしました。今後、当然にこうした若手が増えてくるのではないか、といった予想もされています。「ミニ弁護士」が同業者の冷やかな陰口にとどまらず、「改革」がもたらした一つの現象としてみなければいけない時代がくるかもしれません。
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