根本的な議論への内なる抵抗
政府の有識者会議の議論は、「出来レース」などと言われたりすることがあります。参加されている方々の顔ぶれあるいは構成をみれば、そこで話し合われる結果は、初めから見えているということです。もし、そうだとすれば、この会議の目的は、議論そのものにあるのではなく、そこを通過したという意味を持たせることにあるようにとれます。つまり、人選した側からすれば、明らかに「出来レース」だからこそ、目的が達成されるということもできるわけです(「『有識者』という人たちの弁護士評価」)。
どういうメンバーで話し合われるのか、そのことによって、当然、結論は変わってくるわけですが、同時に、その会議そのものの意味も変わってきます。だから、構成やそれによって決定づけられる会議の性格、あるいは議論のプロセスを見ないで、結論だけで評価することはできないことは多々あります。初めから同じ方向を向いた人だけで話し合われ出された方向と、別々の方向の人たちが話し合った結果導かれた方向とは、違う評価になって当然だからです。
日弁連内部の議論についても、最近、そうしたことを耳にしました。「改革」論議の焦点の一つである法科大学院問題を検討している関連委員会のメンバーが、法科大学院擁護派で占められているという話です。ある会員によれば、反「改革」派も議論に参加させ、合格1500人や「さらなる減員」を導き出した法曹人口政策会議の議論と、まさに対照的で、全く違う状況だということです。
既に書いたように、法科大学院については、日弁連の会内意見は、大きく割れています(「法科大学院との『関係』見直しの視点」)が、擁護派の意見がベースになれば、当然、「改善」ということが中心になり、会内でも強まりつつある受験要件化の撤廃といった法科大学院本道主義に終止符を打つような抜本的な見直し案が、俎上に上るわけもありません。
実は、そうした委員会がまとめた具体的提言案が、各弁護士会に照会されています。ネット上では坂野真一弁護士が、ブログでこの問題を取り上げ、批判的な意見書を発表しています。ここでもこの委員会は「法科大学院と利害関係のある方々が多数在籍しており、法科大学院ありきの議論しかできない状況にあるようだ」とされており、提言案については「宇都宮会長が法科大学院関連の委員会に諮問した事実はないようなので、法科大学院関連の委員会が、俺たちの意見を日弁連の意見として出せと、要求しているのが実態ではないだろうか」としています。
また、前記法曹人口政策会議と、法科大学院・司法修習の委員会の意見交換会に臨んだ時の印象として、「法科大学院関連の委員会の先生方は、法科大学院ありきの議論しかできておらず、問題点を出来るだけ矮小化してなんとか目をつぶろうとしている」としています。
実は、この問題では、宇都宮健児・日弁連会長の功績を評価する見方もあります。この提言案を本当に日弁連の意見として発表していいのか、という問題意識から会員に投げかけている、というのです(武本夕香子弁護士ブログ) 。坂野弁護士も、法曹人口政策会議と、法科大学院・司法修習の委員会と合同で話し合うべきだとする提案に対し、反対する守旧派が多い中で、前記意見交換会が開かれたことは、「宇都宮会長の英断の一つであった」としています。
「改革」の弊害を食い止め、見直すことができるかどうかは、いうまでもなく、どこまで抜本的に、構想そのものにメスをいれられるかにかかっています。そして、そのために日弁連自身が、どこまでこれまでの「路線」を改め、それとともに問題を提起できるかが問われています。それを阻もうとする内部の抵抗に対し、多くの日弁連会員がどういう姿勢で臨むのかも、今、重要な意味を持ってきているように思います。
ただいま、「次期日弁連会長に求めるもの」についてもご意見募集中!
投稿サイト「司法ウオッチ」では皆様の意見を募集しています。是非、ご参加下さい。http://www.shihouwatch.com/
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日弁連内部の議論についても、最近、そうしたことを耳にしました。「改革」論議の焦点の一つである法科大学院問題を検討している関連委員会のメンバーが、法科大学院擁護派で占められているという話です。ある会員によれば、反「改革」派も議論に参加させ、合格1500人や「さらなる減員」を導き出した法曹人口政策会議の議論と、まさに対照的で、全く違う状況だということです。
既に書いたように、法科大学院については、日弁連の会内意見は、大きく割れています(「法科大学院との『関係』見直しの視点」)が、擁護派の意見がベースになれば、当然、「改善」ということが中心になり、会内でも強まりつつある受験要件化の撤廃といった法科大学院本道主義に終止符を打つような抜本的な見直し案が、俎上に上るわけもありません。
実は、そうした委員会がまとめた具体的提言案が、各弁護士会に照会されています。ネット上では坂野真一弁護士が、ブログでこの問題を取り上げ、批判的な意見書を発表しています。ここでもこの委員会は「法科大学院と利害関係のある方々が多数在籍しており、法科大学院ありきの議論しかできない状況にあるようだ」とされており、提言案については「宇都宮会長が法科大学院関連の委員会に諮問した事実はないようなので、法科大学院関連の委員会が、俺たちの意見を日弁連の意見として出せと、要求しているのが実態ではないだろうか」としています。
また、前記法曹人口政策会議と、法科大学院・司法修習の委員会の意見交換会に臨んだ時の印象として、「法科大学院関連の委員会の先生方は、法科大学院ありきの議論しかできておらず、問題点を出来るだけ矮小化してなんとか目をつぶろうとしている」としています。
実は、この問題では、宇都宮健児・日弁連会長の功績を評価する見方もあります。この提言案を本当に日弁連の意見として発表していいのか、という問題意識から会員に投げかけている、というのです(武本夕香子弁護士ブログ) 。坂野弁護士も、法曹人口政策会議と、法科大学院・司法修習の委員会と合同で話し合うべきだとする提案に対し、反対する守旧派が多い中で、前記意見交換会が開かれたことは、「宇都宮会長の英断の一つであった」としています。
「改革」の弊害を食い止め、見直すことができるかどうかは、いうまでもなく、どこまで抜本的に、構想そのものにメスをいれられるかにかかっています。そして、そのために日弁連自身が、どこまでこれまでの「路線」を改め、それとともに問題を提起できるかが問われています。それを阻もうとする内部の抵抗に対し、多くの日弁連会員がどういう姿勢で臨むのかも、今、重要な意味を持ってきているように思います。
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