千葉県弁、法曹人口協議申し入れの波紋
法曹人口の削減をめぐり、千葉県弁護士会が3月4日に行った日弁連への申し入れが、弁護士会内で話題になっています。関係者によると、その内容の柱は、概ね以下の3点です。
① 日本弁護士連合会は、今後の法曹人口政策について、千葉県弁護士会と協議の意向があるか。
② 司法試験合格者を1500人程度は輩出されるようにするという現行の政策について、政府へ人数削減を求める意向があるかどうか。
③ ①②について、本年4月末までに文書で回答されたい。回答がない場合や協議に応じない場合、千葉県弁護士会は司法修習生の実務修習について受け入れ制限を検討する。
話題の中心は、この申し入れが③の実務修習の受け入れ制限検討を、日弁連に突き付けている点です。同弁護士会は、これまでも法曹人口問題では減員方向の提案をしてきた会であり、同様の動きは全国の地方単位会のいくつかで見られてきましたが、日弁連の対応をにらんだ、ここまで踏み込んだ申し入れがなされたことはありません。
同会関係者も「劇薬」と呼んでいる、このカードを切った背景には、弁護士過剰による経済的状況が深刻さを増して、「待ったなし」の状況であることに加え、この問題に向き合っていない日弁連執行部へのいら立ちがあります。日弁連は昨年3月に開催した臨時総会で 司法試験年間合格者を直ちに1500人、可及的速やかに1000人以下にすること、予備試験の制限への反対表明と給費制復活をうたうよう求めた招集請求者案を否決し、「取りあえず1500人」という目標にとどめる執行部案を可決しました(「3・11臨時総会からみた『改革』と日弁連」)。
しかし、その後も、日弁連はこの問題で、その方向での積極的な活動をしていないという現実があります。この消極姿勢は、「改革」による経済的な影響が、ここまではっきりとしていながら、結果的に依然増員路線を堅持するものとして、増員反対・慎重派会員間の不満、不信につながっています。
こうしたなかで千葉県弁護士会が突き付けた、実務修習の受け入れ制限検討は、これまでのような形の地方会からの減員要求では動かない日弁連を、なんとか前に動かすための一石だった、ということになります。実務修習への地方会の貢献という視点も、そこに打ち出した格好です。
この千葉県弁護士会のアクションには、同会だけでなく、他会からも異論が噴出しています。一つは今回の申し入れが、常議員会の決定を経ずに、理事者の決定だけで執行されている点、そしてもう一つはやはり司法修習生を巻き込む形になった点です。とりわけ、後者については、「修習生に不利益を与えるのは筋違い」「修習生を人質にとっている」といった批判的意見が聞かれます。また、千葉県弁護士会の実務修習での受け入れ人数は今年61人、過去最も多い時でも86人で、仮に人数制限が行われたとしても、そもそも日弁連執行部を動かすようなインパクトはない、といった冷ややかな意見も聞かれます。
しかし、同会関係者の一人は、「現在の弁護士の状態が続くことは、この世界でやっていこうとする修習生には、もっと大きな不利益につながるはず」としていました。また、仮に地方会が次々に実務修習制限を掲げることになれば、それは相当な異常事態として、法曹界として無視できないものになる可能性はあります。
同弁護士会の執行部は、前記申し入れに対する日弁連の反応がなかった場合、予定通り具体的な人数を挙げた受け入れ制限案を、常議員会を経て、5月の総会に諮る方針ですが、会内から相当な異論が出されることが予想され、先行きは不透明です。また、今のところ減員要求に同調する地方会から、千葉県弁護士会に続く具体的な動きは確認できませんが、ただ、いずれにしても、今回の申し入れは、地方会からの減員要求と、それをめぐる日弁連との対峙あるいは抵抗が、実務修習を絡めた新たな段階に入ったことを予感させるものとして、その成り行きが注目されます。
今、必要とされる弁護士についてご意見をお寄せ下さい。司法ウオッチ「司法ご意見板」http://shihouwatch.com/archives/4806
司法改革に疑問を持っている人々ための無料メールマガジン「どうなの司法改革通信」配信中!無料読者登録よろしくお願いします。http://www.mag2.com/m/0001296634.html

にほんブログ村

にほんブログ村


① 日本弁護士連合会は、今後の法曹人口政策について、千葉県弁護士会と協議の意向があるか。
② 司法試験合格者を1500人程度は輩出されるようにするという現行の政策について、政府へ人数削減を求める意向があるかどうか。
③ ①②について、本年4月末までに文書で回答されたい。回答がない場合や協議に応じない場合、千葉県弁護士会は司法修習生の実務修習について受け入れ制限を検討する。
話題の中心は、この申し入れが③の実務修習の受け入れ制限検討を、日弁連に突き付けている点です。同弁護士会は、これまでも法曹人口問題では減員方向の提案をしてきた会であり、同様の動きは全国の地方単位会のいくつかで見られてきましたが、日弁連の対応をにらんだ、ここまで踏み込んだ申し入れがなされたことはありません。
同会関係者も「劇薬」と呼んでいる、このカードを切った背景には、弁護士過剰による経済的状況が深刻さを増して、「待ったなし」の状況であることに加え、この問題に向き合っていない日弁連執行部へのいら立ちがあります。日弁連は昨年3月に開催した臨時総会で 司法試験年間合格者を直ちに1500人、可及的速やかに1000人以下にすること、予備試験の制限への反対表明と給費制復活をうたうよう求めた招集請求者案を否決し、「取りあえず1500人」という目標にとどめる執行部案を可決しました(「3・11臨時総会からみた『改革』と日弁連」)。
しかし、その後も、日弁連はこの問題で、その方向での積極的な活動をしていないという現実があります。この消極姿勢は、「改革」による経済的な影響が、ここまではっきりとしていながら、結果的に依然増員路線を堅持するものとして、増員反対・慎重派会員間の不満、不信につながっています。
こうしたなかで千葉県弁護士会が突き付けた、実務修習の受け入れ制限検討は、これまでのような形の地方会からの減員要求では動かない日弁連を、なんとか前に動かすための一石だった、ということになります。実務修習への地方会の貢献という視点も、そこに打ち出した格好です。
この千葉県弁護士会のアクションには、同会だけでなく、他会からも異論が噴出しています。一つは今回の申し入れが、常議員会の決定を経ずに、理事者の決定だけで執行されている点、そしてもう一つはやはり司法修習生を巻き込む形になった点です。とりわけ、後者については、「修習生に不利益を与えるのは筋違い」「修習生を人質にとっている」といった批判的意見が聞かれます。また、千葉県弁護士会の実務修習での受け入れ人数は今年61人、過去最も多い時でも86人で、仮に人数制限が行われたとしても、そもそも日弁連執行部を動かすようなインパクトはない、といった冷ややかな意見も聞かれます。
しかし、同会関係者の一人は、「現在の弁護士の状態が続くことは、この世界でやっていこうとする修習生には、もっと大きな不利益につながるはず」としていました。また、仮に地方会が次々に実務修習制限を掲げることになれば、それは相当な異常事態として、法曹界として無視できないものになる可能性はあります。
同弁護士会の執行部は、前記申し入れに対する日弁連の反応がなかった場合、予定通り具体的な人数を挙げた受け入れ制限案を、常議員会を経て、5月の総会に諮る方針ですが、会内から相当な異論が出されることが予想され、先行きは不透明です。また、今のところ減員要求に同調する地方会から、千葉県弁護士会に続く具体的な動きは確認できませんが、ただ、いずれにしても、今回の申し入れは、地方会からの減員要求と、それをめぐる日弁連との対峙あるいは抵抗が、実務修習を絡めた新たな段階に入ったことを予感させるものとして、その成り行きが注目されます。
今、必要とされる弁護士についてご意見をお寄せ下さい。司法ウオッチ「司法ご意見板」http://shihouwatch.com/archives/4806
司法改革に疑問を持っている人々ための無料メールマガジン「どうなの司法改革通信」配信中!無料読者登録よろしくお願いします。http://www.mag2.com/m/0001296634.html

にほんブログ村

にほんブログ村


スポンサーサイト