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    弁護士会自己アピールの欠陥と会員目線

     明けましておめでとうございます。
     今年もよろしくお願い致します。

     弁護士・会は正当に評価されていないのではないか、という弁護士会員の声が異口同音に聞かれます。あくまで印象とお断りしますが、それは以前よりも会内膨らんできており、そして、さらにそれは評価しない社会に対しての不満ではなく、よりその批判の矛先が弁護士会自体に向けら始めているようにもとれるのです。  

     最近も、ある弁護士のX(旧ツイッター)へのこんな投稿が目に止まりました。

     「弁護士は、ひまわり基金とか、当番弁護とか、日弁連委託援助とか、もっと弁護士がお金出して、公共のために努力していることを広報するべきだと思う。致命的にこれが下手だと思う。法科大学院制度だって、あれだけ手弁当で支援したのに、関係者に逆恨みされているお・・・」(深澤諭史弁護士のポスト@fukazawas)

    弁護士は公共のために汗をかいているのに、それが評価あるいは認識されない要因として、弁護士会がアピール不足、あるいはその方法に問題があるのではないか、という、よく聞かれるようになっている指摘です。

     後段の部分は、法科大学院制度がうまくいかなかった原因が、弁護士会の「ネガティブ・キャンペーン」にあるとする、法科大学院関係者から聞こえてくる論調です。現実は、弁護士会主導層は、法科大学院擁護派であり、旗振り役に回っており、また、やり玉にあげられる増員政策へのスタンスにしても、内部に反対・慎重論があるのは事実ですが、少なくとも会として増員基調の「改革」に抵抗しているとはいえません。

     つまり、「逆恨み」と表現していますが、「ネガティブ・キャンペーン」論は、事実に反し、根拠がない。しかし、むしろ依然、ある意味、堂々と言われ、それに対し、会がそれを言わせないような形で、堂々と反論しているようにもとれないところに、会員のもどかしさと、会への不満がある。そして、それは他の活動も含めた、弁護士会の致命的なアピール下手が根底にある、という捉え方になります。

     また、中にはこんな捉え方もあります。

     「法案、政策には全く存在感を示せない弁護士会が、法科大学院や法曹養成制度を潰したように言われるのは、やはり政治力のなさゆえだろう」(「TM」氏のポスト@63s244)

     この弁護士会の政治力のなさという点も、実は以前から弁護士会員間で、言われて来たことではありましたが、それが前記「ネガティブ・キャンペーン」論調の跋扈を許している現実とつなげられることになっています。一方で、法案、政策での存在感が示せない弁護士会が、そもそも「ネガティブ・キャンペーン」によって法科大学院や法曹養成を潰せる存在なのか、という皮肉な問いかけにもなっているようにとれます。

     しかも、この点では、「ネガティブ・キャンペーン」論調を掲げる側が、あたかも弁護士会が自らの会員利益を護るために、それを実行したかのようなニュアンスで伝えていることを取り上げて、そもそも今の弁護士会が会員利益のために行動するのか、どこにそんな弁護士会が存在するのか、といった、別の皮肉を言う声も聞こえてきます。

     もっともここで挙げられる「政治力」がいかなるものであるべきなのか、そして、それが弁護士会の活動そのものに相応しいものとして存在し得るのか、という点は、やはり残ると思います。あくまで人権という観点で、筋を通した発言やスタンスを貫くことと、与党政治家や政権との距離感から生み出されるような「政治力」(仮にそういうものだとすればですが)が、それはそれで弁護士会の立ち位置に影響を与えることにならないのか、という点です。

     ただ、そうだとしても、問題は若手を含む多数派を形成している「改革」後世代の会員の意識です。「改革」後のこの世界で、特に会員にとって負担感が増している高い弁護士会費を徴収されながら、強制加入でありながら、会は自分たちのために何をしてくれているのか、守ってくれているのだろうか。

     さらに言ってしまえば、それが止むを得ない「改革」のための、あるいは公共のための、弁護士に想定された、在るべき「犠牲」の結果だとして、それがなぜ、評価につながらないのか――。

     そうした現実に照らせば、前記投稿の中の「政治力のなさ」という表現や、それを弁護士会の課題とすることに、どれほど弁護士が違和感を持つだろうか、という気にもなるのです。そして、もし、弁護士会主導層が、この会員の意識の地殻変動を無視し続けるのであれば、その意識格差はどんどん広がり、弁護士会そのものが持ちこたえられなくなることすら想像してしまうのです。


     弁護士自治と弁護士会の強制加入制度の必要性について、ご意見をお聞かせ下さい。司法ウオッチ「司法ご意見板」http://shihouwatch.com/archives/4794

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    テーマ : 弁護士の仕事
    ジャンル : 就職・お仕事

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    No title

    公益といえば、弁護団活動もありますね。ところが、熊本で起きたB型肝炎弁護団の被害額9000万円とされる業務上横領事件(使途不明金は1億4000万円程度とも)も、社会の弁護士に対する信用を大きく棄損しました。

    >県弁護士会は、今月11日付で懲戒処分に向けた調査に入ったが、内川氏は同日に一方的に退会届を提出。今後、日本弁護士連合会の弁護士登録取り消し手続きが完了すれば、退会の効力が生じるため、懲戒手続きは終了する見通し。

    No title

    またこの話か、と思いました。

    ひまわり基金は、本庁の先生方が過疎地に接見などに行くのが嫌だから、始めたことでしょう。つまるところ、本庁の弁護士の負担に目を付け、東京流のやり方を日本全国津々浦々に広めることを計画した刑事弁護系の先生方の政策であり、社会一般の利益を目的としたものではありません。だから現地自治体の誘致活動などもありません。したがって、中には我流で押し通してとんでもない被害を生み出した弁護士もいました。これについては、地元自治体の苦情を受け、当時の日弁連委員の一人が現地に行き、被害を多数聞き取ったにもかかわらず、どんな報告をしたのか日弁連は何も対処せず。結局その自治体の方が当時の日弁連会長に直訴することで、ようやく日弁連に被害が伝わり始めた。ところがその後に消費者派の先生が日弁連会長になり、引継ぎが悪かったのか何なのか、しばらく放置された。それで被害がさらに拡大した。最終的には軽微な理由で1か月の業務停止として、その後に本人に請求退会させることで、全ての被害を表に出すことを防いでいましたが、弁護士の信用は地に落ちました。とるべき対処をなすべきタイミングでしなかったので、いつまでもこの問題はぐずついており、戦争責任のごとく風化はしません。弁護士が加害行為を行うというのは稀かもしれませんが、他にも軽微な懲戒処分を受けた先生方は居ます。
    さらに言えば、今でも多くの若者が過疎地に派遣され、キャリアをつぶされています。すぺおきのみ東京に戻らせて引き受けるとか、おきには本庁に置くとか、やり方があからさま。なかにはそのすぺおきの一人が被害者ポジを取ってぶちまけたことも数年前にありました。本当にどうしようもありません。

    この件に限らず、一部の弁護士が公益と思いこまされていることが実は公益とはズレている、それを上層部は知っているから広報活動などほとんどないのです。
    プロフィール

    河野真樹

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


    河野真樹
    またまたお陰さまで第3弾!「司法改革の失敗と弁護士~弁護士観察日記Part3」
    河野真樹
    お陰さまで第2弾!「破綻する法科大学院と弁護士~弁護士観察日記Part2」
    河野真樹
    「大増員時代の弁護士~弁護士観察日記Part1」

    お買い求めは全国書店もしくは共栄書房へ。

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