認識を共有しきれていない「経済苦境」
最近、このブログを読んで下さっている方から、弁護士の経済的な苦境についてよく聞かれます。もっと具体的で切実な実態を知りたい、ということです。
弁護士の経済事情については、ときどき法科大学院や増員と絡めて、大マスコミも取り上げ、「大変みたいだ」くらいまでは、かなり一般にも知られてきた観がありますが、それでもそれがどの程度の問題なのか、については、まだ十分には知られていません。
実は弁護士同士についても、実は広く認識を共有しているというわけではないと思います。以前にも書きましたが、弁護士の現在の経済状況は、どういう業態の、またどういう地域で仕事をしているかによって全く違うのが実情です。企業・渉外弁護士から、街弁といわれる市民の事件を取り扱っている弁護士、過払い問題で成長した新興事務所、さらには若手の即独組(事務所勤務歴なくすぐに独立する弁護士)、さらに勤務弁護士か経営弁護士かで、現在の置かれている状況が違いますし、地域は都市部なのか地方なのかでももちろん事情が違います。
弁護士に取材しても、多くの人は、自分の周辺事情については、分かっても、全体的にどうかというと、なかなかコメントはできません。もちろん、噂というレベルでは、一般の方たちよりは、いろいろな情報を耳にしているわけですが、それも限界があります。
決定的な問題としていわれるのは、やはり本当のことを言いたがらない、という現実があることです。やはり、あまりに経済的に大変というのは、恥ずかしいという意識が働くというのです。これは、理解できます。
現在の弁護士の経済苦境は、主に若手を中心に語られますが、実はベテランにもそれは及んでいます。若手もそうですが、ベテランならなおさらのこと、カミングアウトできない心境は分からなくもありません。そのなかで、やむにやまれず、若手の一部が、正直に現況を吐露しているのが実情です。
言ってどうなる、という、あきらめ感のようなのも出始めています。増員路線が続く中、明るい展望もなく、マスコミや経済界は、「甘えるな」とばかり自己努力と自己責任をたたみかけている現状で、「やれることはやっている」という悲鳴も聞こえてきます。弁護士会では、表では「まだまだやれる」的に鼓舞する意見があっても、裏に回れば、暗い話ばかりが聞こえてくるといった状態なのです。
さすがに弁護士の中から、「この世界にこなくなるだろう」という意見を、よく聞くようになりました。ある弁護士は、「弁護士はまたまだもうけている。一般より、また恵まれているということが、マスコミなどで強調されているけれど、ある程度の条件がなければ、現実的には優秀な人間たちは他の世界にいってしまう」と嘆いていました。そんな人間は、来ないでいい、それでもいい志のある者だけくればよし、とこれまた表では、威勢のいいことを言う人もいそうですが、裏に回れば、やはり前記弁護士の言を気にしている人は、この世界に沢山いるようです。
弁護士の不景気な話ばかりせず、もっと魅力を伝えるべきという人もいますが、それは必ずしも正しいとはいえないと思います。「食えない」ことを伝えれば、人は来なくなると言いますが、ひとつは現実はやはり伝えられなければならないということ、もうひとつは伝えられることによって悪化や被害が止められるということがあります。
弁護士のブログを見ていると、正直に本音を発信されているととれる方が沢山います。所詮よそ行きの言葉で語っているなどと言う人もいますが、これを毎日読んでいると、大分、ナマの弁護士に近づける気もします。かつてより個人が発信できる手段があることの、格段の違いを感じます。
この度、立ち上げた司法関連の意見投稿サイト「司法ウオッチ」でも、「弁護士の経済窮状の現実を教えてください」という質問を掲げたところ、その書き込みが少しずつ増え出しています。匿名可ですので、若手からベテランまで是非、書き込んで頂ければと思います。
弁護士同士、そしてそれを取り巻いている社会が、まず、認識を共有するために、今、これまでになく、弁護士個人が意見を発信しなければならない時代に突入していると感じます。
ただいま、「弁護士の経済的な窮状」についてもご意見募集中!
投稿サイト「司法ウオッチ」では皆様の意見を募集しています。是非、ご参加下さい。
http://www.shihouwatch.com/
司法改革に疑問を持っている人々ための無料メールマガジン「どうなの司法改革通信」配信開始!無料読者登録よろしくお願いします。http://www.mag2.com/m/0001296634.html

にほんブログ村

にほんブログ村


弁護士の経済事情については、ときどき法科大学院や増員と絡めて、大マスコミも取り上げ、「大変みたいだ」くらいまでは、かなり一般にも知られてきた観がありますが、それでもそれがどの程度の問題なのか、については、まだ十分には知られていません。
実は弁護士同士についても、実は広く認識を共有しているというわけではないと思います。以前にも書きましたが、弁護士の現在の経済状況は、どういう業態の、またどういう地域で仕事をしているかによって全く違うのが実情です。企業・渉外弁護士から、街弁といわれる市民の事件を取り扱っている弁護士、過払い問題で成長した新興事務所、さらには若手の即独組(事務所勤務歴なくすぐに独立する弁護士)、さらに勤務弁護士か経営弁護士かで、現在の置かれている状況が違いますし、地域は都市部なのか地方なのかでももちろん事情が違います。
弁護士に取材しても、多くの人は、自分の周辺事情については、分かっても、全体的にどうかというと、なかなかコメントはできません。もちろん、噂というレベルでは、一般の方たちよりは、いろいろな情報を耳にしているわけですが、それも限界があります。
決定的な問題としていわれるのは、やはり本当のことを言いたがらない、という現実があることです。やはり、あまりに経済的に大変というのは、恥ずかしいという意識が働くというのです。これは、理解できます。
現在の弁護士の経済苦境は、主に若手を中心に語られますが、実はベテランにもそれは及んでいます。若手もそうですが、ベテランならなおさらのこと、カミングアウトできない心境は分からなくもありません。そのなかで、やむにやまれず、若手の一部が、正直に現況を吐露しているのが実情です。
言ってどうなる、という、あきらめ感のようなのも出始めています。増員路線が続く中、明るい展望もなく、マスコミや経済界は、「甘えるな」とばかり自己努力と自己責任をたたみかけている現状で、「やれることはやっている」という悲鳴も聞こえてきます。弁護士会では、表では「まだまだやれる」的に鼓舞する意見があっても、裏に回れば、暗い話ばかりが聞こえてくるといった状態なのです。
さすがに弁護士の中から、「この世界にこなくなるだろう」という意見を、よく聞くようになりました。ある弁護士は、「弁護士はまたまだもうけている。一般より、また恵まれているということが、マスコミなどで強調されているけれど、ある程度の条件がなければ、現実的には優秀な人間たちは他の世界にいってしまう」と嘆いていました。そんな人間は、来ないでいい、それでもいい志のある者だけくればよし、とこれまた表では、威勢のいいことを言う人もいそうですが、裏に回れば、やはり前記弁護士の言を気にしている人は、この世界に沢山いるようです。
弁護士の不景気な話ばかりせず、もっと魅力を伝えるべきという人もいますが、それは必ずしも正しいとはいえないと思います。「食えない」ことを伝えれば、人は来なくなると言いますが、ひとつは現実はやはり伝えられなければならないということ、もうひとつは伝えられることによって悪化や被害が止められるということがあります。
弁護士のブログを見ていると、正直に本音を発信されているととれる方が沢山います。所詮よそ行きの言葉で語っているなどと言う人もいますが、これを毎日読んでいると、大分、ナマの弁護士に近づける気もします。かつてより個人が発信できる手段があることの、格段の違いを感じます。
この度、立ち上げた司法関連の意見投稿サイト「司法ウオッチ」でも、「弁護士の経済窮状の現実を教えてください」という質問を掲げたところ、その書き込みが少しずつ増え出しています。匿名可ですので、若手からベテランまで是非、書き込んで頂ければと思います。
弁護士同士、そしてそれを取り巻いている社会が、まず、認識を共有するために、今、これまでになく、弁護士個人が意見を発信しなければならない時代に突入していると感じます。
ただいま、「弁護士の経済的な窮状」についてもご意見募集中!
投稿サイト「司法ウオッチ」では皆様の意見を募集しています。是非、ご参加下さい。
http://www.shihouwatch.com/
司法改革に疑問を持っている人々ための無料メールマガジン「どうなの司法改革通信」配信開始!無料読者登録よろしくお願いします。http://www.mag2.com/m/0001296634.html

にほんブログ村

にほんブログ村


スポンサーサイト