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    「美人」が話題になる弁護士の環境

     テレビの法律バラエティ番組へのレギュラー出演が決まった女性弁護士が、「美人弁護士」として報道され(11月28日、J-CASTニュース)、ネットで話題になっているのを見て、つくづく弁護士も変わったと思ってしまいました。

     いうまでもないことですが、念のためお断りしておけば、「美人」という評価において女性弁護士が変わったということではありません。弁護士がこうした取り上げ方をされ、そしてそれが話題になるという、弁護士を取り巻く環境が変わったということです。

     それは一つには、まず、こうした形で弁護士が登場する場が現れたということが大きな変化というべきです。以前にも書きましたが、「バラエティ」という枠に登場し、より弁護士という存在をタレント化して使う方向です。その過程には、逆に制作者側として、そうした形での取り上げ方、いわば「使い途」の発見ということがあったのだと思います。

     「美人弁護士」という話題のなり方も、そうしたある種の意図で作られた場の提供の先に、必然的に現れてきている観があります。

     そして、もう一ついえば、弁護士側の意識が変わってきたとも思います。こうした場に乗り出していくこと、タレント化されることへの抵抗感がない、むしろ積極的に乗り出していく弁護士が現れた出したということです(「『タレント弁護士』と呼ばれる人々」)。

     今回を話題になっている女性弁護士が、自らが「美人弁護士」として話題になっていることをどう受け止めているかは分かりませんが、「美人」かどうかといった取り上げ方に対しては、およそ女性に対する評価として、むしろ眉をしかめる女性弁護士の方は、少なくないという印象を持っています。

     もはやそうした見方そのものが古いのかもしれませんが、あるいはこうした登場の仕方を許容し、そこにも意義を見出す中で、弁護士が頭から拒否するようなテーマではないと考える意識が目芽生えているとも、話題は話題として放置する許容度が生まれているとも、とれなくはありません。

     法律指南役ではありながらも、バラエティとして、制作者側がそれを料理する過程で、固く、いかめしいイメージではない弁護士像は、当然、想定されたのかもしれませんし、逆に、そう取り上げ得る弁護士の変化を読み取ったうえに、そうした企画が成り立ち得たという見方もできるように思います。

     この変化は、どう受け止めるべきなのでしょうか。もちろん、同業者のなかには依然眉をしかめる方もいれば、ここに「身近な法律家」への一つの可能性を見出す方、さらにはどちらともいえず、この変化にただため息をついていらっしゃる方がいるようです。

     おそらく多くの視聴者は、この状況を特段抵抗なく受け入れているように思います。むしろ、それが弁護士へのイメージを変え、いわば杓子定規に法律を振りかざす法律家のイメージとは異なり、自分たちと同じ感覚を持つ人間たちなのだと認識し出しているということなのであれば、前記可能性を見出している方々の見方に理があるようには思えます。

     ただ、一方で、やはりこの理は表層的なものという見方もできなくありません。タレントはタレント、弁護士は弁護士であり、それを兼ね備えたキャラクターを登場させ、それがたとえ話題になったところで、それが弁護士への本当の期待感や社会的な役割にどれだけ貢献するのか、ということです。

     法律バラエティという、この番組は、これまでのように法律指南役の弁護士が一人登場し、事案に対して論評するスタイルではなく、複数の弁護士を登場させ、そこに同じ法律家でありながら、いろいろな結論や対応が導き引き出せることが伝わることが特徴になっています。

     そこには法律判断に対する、従来市民が持っているイメージとは違う面もあることから、ある種の誤解を生むという見方と、現実を伝えるという見方での賛否両論があるようです。しかし、ある意味で、弁護士という存在そのものについても、いろいろな人間がいることを社会に伝えることになっている、現在のテレビ番組の先にも、一体、何が待っているのか、そこはやはり以前未知数です。


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    河野真樹

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


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